歴下亭の「オモシロイからナルホドまで」

古書店・歴下亭(Amazonマーケットプレイス)を営む「本の虫」のつぶやき。本・雑誌・音楽などなどのこと。

りぼんの行方

東武線・西新井の駅からはかなり距離がある。新規に開通した「日暮里・舎人ライナー」の西新井大師西という駅ができてはじめて、交通の便を得た、そんな場所に古本屋「りぼん」がある。正確には「あった」。つい先月まで。

CDとかVTR、雑誌、コミックなんかに混じって、片隅に文庫本や単行本のコーナーがあり、在庫の数は僕の書庫よりも少なかったと思う。レジではいつもおねえちゃんがヒマそうにパソコンをいじっていて、購入してもレシートはくれない。月に一度くらい自転車で訪れたが、僕以外の客の姿を見たことはほとんどない。

が、そこは実は宝の山だったのだ。といっても行けば必ずお宝にめぐり合うわけではないのだが、今までに掘り当てた良品は20冊を優にこえている(正確な記録がないが)。

最も強烈な印象があるのが、園山俊二『国境の二人』だ。

f:id:endersen:20130321090828j:plain

↑最初に発見したときには2冊、子供向けの絵本のブロックに2冊並んでいた。手にとって見るとマッサラのほぼ新品というか新品そのもの。1冊150円だったか。しばらくして行くと、また同じ場所に今度は3冊あった。全部購入したことは言うまでもない。(本の説明は面倒なので省きます)

あとは飛び出す絵本の英語版『カーマ・ストラ』。リアルな絵なので画像は掲載しないが、こちらはまだ手元にある。『さしがねの実技』なんていう本も、かなりオモシロくてナルホドで、しかもオイシかった。

で、先月の中ごろだったか、クルマで前を通り過ぎたとき、ドアに大きな張り紙がしてあるのに気づいた。次の日自転車で行ってみると中でレジのおねえちゃんともう一人がいて、僕を見ると「たなおろし中です」とひと言。3日後再度行ってみると、「閉店」の張り紙。なんと、棚ごと下ろしてどこかへ行ってしまったのであります。どこかほかの場所に移転したのだろうか(それはない、おそらく)…というのが「りぼんの行方」なのでした。

◆それにしても北千住、浅草、西新井とここ数年の間に<はぐれ古書店>が姿を消している。なんとも寂しい限りだ。グッスン!!