歴下亭の「オモシロイからナルホドまで」

古書店・歴下亭(Amazonマーケットプレイス)を営む「本の虫」のつぶやき。本・雑誌・音楽などなどのこと。

おやおや、おやさい

おやおや、おやさい (幼児絵本シリーズ)

 

言葉遊びは楽しい。お決まりの単純な語呂合わせみたいなのを連発すると「オヤジギャグ」なんて指弾されるそうだが、それでもないよりよっぽどマシだろう。「マジ?」を連発する脳硬直的言語能力の欠如に比べれば、ちょっとウルサイかもしれないがはるかに上等だ。

頭の中にある膨大なコトバ。そのなかの一つの言葉と、何の関連もないもう一つの言葉が、なにかをきっかけに瞬時に結びつく。シュールであり謎に包まれた楽しい世界なのだ。

あるとき仕事場で、数人でテレビを観ていた。ニュース。経緯は忘れたが、女性が痴情のモツレから男性を殺害し、そのイチモツを鍋で煮て食べてしまった…といった内容だった。となりで観ていた男が「ナベサダだな」とひとこと。このときの背筋がぞっとするような感動は今も忘れない。生涯でベスト3に入るひと言だとおもう。

おっと、ついつい道をはずれてしまった。子どもの絵本のことだ。3人の子どもなどにプレゼントした絵本は100冊を下らないが、印象に残ったり今も孫用の本棚にあるものの中から「この1冊」をクローズアップしていきたい。

「おやおや、おやさい」は絵もかわいくてユーモラスで、見るだけでも楽しいが、各ページの下に1行だけ書かれている文章がまた、いい。野菜たちがマラソン大会に参加するという設定なのだが、まず「そらまめ そろって マラソンさ」。次が「にんきものの にんにく きんにく むきむき」とくる。

全部で12本の文だから全部書いても手間は知れてる。でもあとひとつだけ。「かぼちゃの ぼっちゃん かわに ぼちゃん」絵が主体だけども、まだひらがなが読めない孫に何度読んであげたことか。絵の情景を説明するだけでなく、説明だけでもオモシロいイ。特別に「コトバ教育」などと構えるつもりはないが、読み聞かせるほうが楽しんでいる、これが重要な気がする。

絵本大賞だな。個人的に。