再び『鼻ほじり論序説』のオモシロさについて
まず引用。「鼻ほじりは、人類史上最高の快楽であり、また人類史上最古の快楽でもある。このことを考えると、これまでこのテーマを取り上げた書物がほとんどないことに驚かされる。(中略)ローランド・フリケット氏は鼻くその世界的権威であり、本書は各国の鼻ほじりの強い味方となるものである。全世界に先駆けてイギリスで出版された『鼻ほじり論序説』は数世紀に及ぶ鼻ほじりの歴史をたどり、その技術の進歩を追う。…(略)」
どうです? ウズウズしてきませんか。「だからなんなんだよ」とか「それって何かの役にたつの?」みたいな感想をお持ちの方、マダマダですな。その疑問符がそのまま「サブカルチャー」の価値、存在理由なのであります(なんか、言い方まで変わってきた)。ちなみに目次を一覧。
1.鼻ほじりの歴史 2.鼻ほじりとは何か 3.鼻ほじりのテクニックーさらなる高みを目指して 4.鼻ほじりの悩み相談 5.鼻ほじりの豆知識 6.ノストリルダムス(ノストリル=鼻の穴)の大予言 7.絵画表現における鼻ほじり 8.詩や歌の中の鼻ほじり 9.用語集
図版がこれまた傑作で、ひと昔前に週刊誌などでよくみた「しとうきねお」という人の作風のルーツはこんなところにあったのでは、との感想も。
皮肉、諧謔、逆説、捏造、反語、パクリ、歪曲、オタク性等々、多くの要素が分別されないゴミタメの中のように同居していて、しかも総合的には「品格」の高い、そんな一冊であります。
えらい!あんたはサブカルチャーの人間国宝や、とはふざけすぎかもしれないが、この本に対してはクソまじめに直球を投げるよりはるかにマッチした最大級の賛辞になると思う。
鼻ほじりを喫煙なんかに言い換えてもちょっと面白いかも。余裕なのかな。「短期間でお金が増える」とか「××日で何キロ減量」みたいな本や、一度売れると同じようなタイトルの本が続々とばらまかれる出版事情のさなかで、こうした本を出したその決断に頭を下げたい。(2006年3月発行、バジリコ株式会社)
*この記事は刊行直後の2006年9月に「アメーバブログ」に書き込んだものを一部加筆・修正しました。