歴下亭の「オモシロイからナルホドまで」

古書店・歴下亭(Amazonマーケットプレイス)を営む「本の虫」のつぶやき。本・雑誌・音楽などなどのこと。

「薄桜記」最終回と時代小説

薄桜記」最終回は録画で土曜日に鑑賞した。案の定、予定調和のようにすっぽりと全てが納まるべきところに納まった。「討ち入り」のシーンは一瞬だけ流し、丹下典膳の死と長尾千春の「後追い」シーンの余韻を重んじたような構成になった。最終回のタイトルは「雪の墓」だ。誰もが(年齢層のことはこの際無視)TVや映画で記憶している無粋な凱旋は邪魔なだけだろう。そもそもこれは恋愛小説なのだから。

人斬り彦斎 (ケイブンシャ文庫)

人斬り彦斎 (ケイブンシャ文庫)

原作者の五味康祐だが、趣味(というには深すぎる)に関するエッセイをいくつか読んだ記憶はあるが、小説は覚えがない。で、読書ノートをひっくり返してみたが出てこない。書庫を探したら一冊だけあった。未読の一冊は『人斬り彦斎(げんさい)』。一泊旅行の往路と明け方までを使って読了した。ま、感想はしまっておく。

 

時代劇というか「剣豪小説」もそれほど読んでいるわけではないが、最近ハマったのが荒崎一海の『闇を斬る』シリーズ。たまたま手にした第1巻「龍尾一閃」をを読み始めたら止まらなくなってしまった。

闇を斬る 一  龍尾一閃 〈新装版〉 (徳間文庫)

特に「凄い!」と感じたのが決闘シーンの描写。それと登場する町人や同心の「江戸弁」。いつでも「言葉」は気になる。決闘の描写は僕にとってかなりショッキングであり、筋を追いつつも「はやく次の決闘シーンが出てこないか」と期待しながら読み進めている状態がかなり続いた。なんといっても第7巻まであるんだから。

 

決闘シーン(斬り合い)を何度か読み終えたころ、「あれ?この感覚いつか経験したような…」と思い記憶を掘り起こしてみたら、なんと北方謙三だった。その描写は斬新で、しばらくは目を離せなかった。

 

桃太郎侍が画面の中で何人斬ったのか知る由もないが、鷹森真九郎(『闇を斬る』の主人公)の立ち合い相手は、全て腕におぼえのある○○○流とかの遣い手ばかりだ。……詳細は本をひっくり返しながらでないと書けないのでやめるが、とにかく興奮すら覚えるスゴさなのだ。第4巻までで何度か手傷を負いながら、倒したのは40人くらいだろうか(テキトーな勘定)。

 

僕の読み方(決闘シーン重点)のせいかもしれないのだが「闇」というえたいの知れない敵の組織に関する記述に一貫性がなく、大掴みのような印象を受けたことも付記しておく。江戸の地名や川筋の記述、初恋の相手で手を取り合って国元を出奔してきた恋女房に関しての記述も、でてくる回数は多くないが、いい。